ラカン 患者との対話 症例ジェラール、エディプスを超えて
目次
プロローグ
第一幕 対話編――ラカンと患者の対話
1 患者ジェラールの生い立ち
2 対話記録(一九七六年二月一三日 於パリ・サンタンヌ病院)
第二幕 理論編
1 鏡像段階
2 エディプス・コンプレックス、去勢
3 父の名の排除、ファルス機能の排除、症例シュレーバー
4 ボロメオ理論、父の名の欠如/ファルス機能の欠如、症例ジョイス
5 内省型精神病と非内省型精神病、症例アンネ・ラウ
第三幕 解決編
1 症例ジェラール――ラカン的精神病(内省型精神病)
2 ラカン的技法
第四幕 現代におけるラカン――普通精神病と自閉症、現実感を巡る議論
1 普通精神病の提唱
2 自閉症に対するラカン派の視点
エピローグ――日本におけるラカン派精神分析実践の可能性(原発の傍らに)
あとがき
内容説明
唯一残るラカンによる臨床現場のドキュメント
1976年2月、精神科医ジャック・ラカンはパリのサンタンヌ病院において、患者ジェラールと対話する。本書はその貴重な記録の、初めての邦訳である。ラカンによる具体的な臨床の手つきが伝わるとともに、自閉症との鑑別が重要な現代の軽症化精神病(普通精神病)に対するラカン派精神分析の原点が示される、生々しいドキュメント。十全な解説を施し、ラカン思想への入門としても最適。
「仔細に見ると、古典的理論によって記述された臨床研究は、問題を議論し尽くしていないことが判ります。いつだったか忘れましたが、一か月半前だったか、このような感じで一人を診察しましたが、その人はフロイト的な精神病でした。今日のジェラールは、ラカン的な精神病、まさにその典型でした。押し寄せる声、想像界、象徴界、現実界。(中略)繰り返します。それでも今日の症例は、今まで記述されたことのない、シャスランのような優秀な臨床家たちの研究にさえ見出せなかったタイプのものであるということを。」(本書より)
引用元
人文書院